2011.09.01

元ページ
Blind Fish Sees With the Pineal Gland(The Epoch Times / 2010年07月03日)
http://www.theepochtimes.com/n2/content/view/38498/

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メキシコの目の見えない魚は松果体で「見て」いた



「松果体」で光を検出している魚


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メキシコの淡水に住む熱帯淡水魚には2つの種に属するものがいる。ひとつは、陸地の川に住む目のある種類。もうひとつは、洞窟の水の中に住んでいるもので、こちらには目がない。

この目のないメキシコの淡水魚は眼原基(目の前段階のもの)自体は、胚として成長するが、幼魚の時に皮膚で覆われ退化してしまい、目にはならない。この魚は光を感じ取ることはできないと思われてきたが、メリーランド大学の研究者が2008年に「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・バイオロジー」に発表した研究論文によれば、「別の方法で見ている」ことが明らかとなった。

この魚は、目は機能していないが、脳の中央近くにある松ぼっくりの形をした内分泌腺の「松果体」で光を検出していることが実験からわかった。松果体は皮膚の奥深くにある器官であるにも関わらず、光を感知できているという。

この松果体は、いくつかの脊椎動物では「第3の目」としての器官として知られている。

メキシコのパチョン地区の洞窟に住む魚とティナジャ地区の洞窟に住む魚(それぞれ眼のない魚)、そして陸地の川に住む魚(眼のある魚)のそれぞれの集団が実験に使用された。

実験は、陸地の川の魚と洞窟の両方の幼魚に、プラスチックで仕切った空間の中で、3分間ずつ光を当てる。その後、光を遮って、水面に泳いで上ってくる魚の数を数えた。この影に対しての反応行動は、若い幼魚が、水面に浮かびながら物陰に隠れて捕食者から逃れるための行動だという。

受精後1.5日後には60から70パーセントの洞窟に住む魚たちが、この影への反応を見せた。陸地の川に住む魚では、約50パーセントがこの反応を見せた。

この実験は7日間のあいだ、一日に一度繰り返し行われた。

すると、ティナジャ地区の洞窟魚(眼のない魚)は陸地の川に住む魚(眼のある魚)よりも多く影に対しての反応を見せることがわかった。この結果は、光を感じる能力は眼のある陸地の川に住む魚と、眼のない洞窟魚の両方に存在していることを示している。

幼魚が何を頼りにして影を感じているのかを突き止めるために、研究者たちは、魚の松果体、片眼、あるいは両方の眼を取りのぞいて実験を続けた。

その結果、両眼を取り除かれた陸地の川の魚と洞窟の魚は両方が従来と同様の行動を示したが、松果体が取り除かれた魚では、約10パーセントの魚しか影への反応行動をとらなかった。

研究者たちは、松果体が影への反応行動の重要な要素であり、また、松果体だけで光を検知できているわけではなく、松果腺と運動系との神経連絡が存在すると結論づけた。