2011.08.31

元ページ
資料:ホイル博士が夢見た無数の世界(クレアなひととき / 2010年04月24日)
http://tok2.seesaa.net/article/147594839.html


紀元前6世紀のブッダの世界観



hoylepa300.jpg
・フレッド・ホイル博士。


フレッド・ホイル著 「生命はどこからきたか」 第十五章の最終ページより抜粋

現代の科学者はもはやキリスト教の独占状態ではない。われわれは非キリスト教的起源を持つ科学的、技術的文化の急速な出現を日本や東アジア地域に目の当たりにしている。

これら新しい文化が影響力を持って広がり成長していくとき、何がそうさせるのかと思うだろう。日本では重要な文化的影響力を持つ仏教は寛大で比較的教義に拘束されない。ゴータマ・ブッダは真実を見いだすことの重要性を強調した。彼の弟子に対する教えが墓碑に刻まれている。

「自分に忠実に生きなさい。真実の光をともし続けよ。真実においてのみ拒否しなさい。あなたの隣の誰かのために拒否するのではない。今、この先、生きる人々が知を望むなら偉大な達成が得られるだろう」(「マハパリニッチ・スッタ」 No.16)

これは現在でも将来有望な若い科学者への良い助言となる。紀元前六世紀に、ブッダの世界観はすでにコペルニクス革命以後に入っていた。彼は宇宙が、各々がわれわれの惑星系と似た数十億の ”小さな宇宙” から成り立っていると記している。ブッダの対話形式になっている古い仏教の教典のなかに無限の宇宙について述べられている。



「無数の太陽、無数の月、・・・、無数のジャムブディパス、無数のアパラゴヤナス、無数のウッタラクラス、無数のブッダビデバス」



ジャムブディパスとは当時の北インドの人々が知る限りの人の住んでいる地域を表す単語である。この対話から、ブッダが生命と意識(彼はすべての生命に意識があると考えていた)を宇宙的表現 -- 宇宙の構造に全体として結びついていて別々にできないものと捉えていたことは充分に明らかである。

古代の伝統的仏教は数多くの点でわれわれがこの本で議論した方向へのコペルニクス革命を発展させるのに適した考え方であると思われる。

もしそうした考え方が広がれば、少なくとも中世の足かせから解放された科学となるだろう。