2011.09.01
元ページ
Even Before Language, Babies Learn The World Through Sounds(米国科学的心理学会 プレスリリース / 2011年07月11日)
http://www.psychologicalscience.org/
米国科学的心理学会 プレスリリースより
言葉の意味そのものだけではなく、「言葉の持つ音」というものが私たちには非常に大きな意味を持ち、それは言葉の単語の意味を正確に把握している子どもや大人、共に関係することだ。
そして、最近、小さな赤ちゃんにもその「言葉の音」が大きく関係していることが調査の結果わかった。そして、その行動には母音が大きく関係している。
この内容は、心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス誌」の次の号で発表されることになっている。
今回、この研究では、スペイン語を話す家庭から生後4ヶ月の赤ちゃん 28人と共に研究者たちが調査を進めていた。
赤ちゃんからは両親の顔や姿が見えないようにして、防音室の中で、赤ちゃんを両親の膝の上に座らせた。
防音室には、母音を表す「I」、「O」、「E」、「A」から始まる内容的に意味をなさない綴りの言葉の音声がパイプで送られた。
この防音室には卵形や円形や正方形などの様々な形をした色の違うオブジェが置かれた。オブジェには大きなものと小さなものがそれぞれ置かれた。そして、アイトラッカー(人の視線を追う装置)を利用して、赤ちゃんたちがどのオブジェを見ているのかを実験の中で記録し続けた。
以前おこなわれた同様の調査では、大人の場合、母音の「I」と「E」では小さなオブジェに視線がいき、「O」と「A」では大きなオブジェに視線が向かった。
これは様々な言語において同様だった。
今回の研究では、赤ちゃんでは、この傾向がさらに大きいことがわかった。
赤ちゃんたちは、ほぼ 100パーセント、その母音に応じての同じ対象を見た。ほぼ必ず、母音の「I」と「E」では小さなオブジェに視線がいき、「O」と「A」では大きなオブジェに視線が向かったのだ。
また、卵形や円形や正方形などの様々な形、そして、様々な色に対しても、赤ちゃんたちは母音に対応した視線の動きをした。
つまり、母音と物体認識の間の相関関係がほぼ絶対的であることが実験で示されたのだ。
研究者は言う。
「これが私たちが生まれつき持っている認知と学習機能なのかどうか・・・それは私たちにはわかりません。しかし、これが最も初期の人間の能力の一つであることは間違いないと思います」。
赤ちゃんは言葉の意味を知らない。しかし、母音によって、大きなもの、小さなもの、丸いものなどの形状を「言葉から」学んでいるということになる。音の持つ特性によって世界を認識している可能性があるのだ。
この研究の何が重要なのか?
それは、「人間の初期の認知の発達がどのようになっているか」ということは、実は現在でもほとんどわかっていないのだ。
小さな赤ちゃんがどのように世界を認識して、その概念を築いていくのかということの研究は大変に重要な課題となっている。そして、今回の調査結果からは「言語学習」の意味の別の側面が見える。
今後、言語と概念に関しての発達のプロセスの調査のために新しい方法も取り入れていく予定だ。