創造神ヌーワへ捧げる地球の音楽

サンプリングでの神への贖罪:スティーブ・ライヒ 「イッツ・ゴナ・レイン」 (1965年)




2006年に高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門を受賞したアメリカの現代音楽作曲家スティーヴ・ライヒ。

米国のコーネル大学で哲学を学んだ後に、ニューヨークのジュリアード音楽院で音楽を学んだ「完全なるエリート音楽家」であるライヒ。しかし、彼が最初に発表した1965年の曲に私は神への許しの願いの魂の声をききます。

イッツ・ゴナ・レインは実際にはかなり長い構成で、下のはその一部です。


Steve Reich - It's Gonna Rain (1965)




ボイスをテープに録音して延々とサンプリングした作品であるこの「イッツ・ゴナ・レイン」(1965年)はスティーヴ・ライヒの最初期の発表作品ですが、「私は音楽家として、作曲活動の最初にまず神々に贖罪したい」と言っているように私には聞こえます。その「罪」とは、クラシック音楽家たちが、音楽を「作曲家サイドのもの」と固定したことです。

創造神の望んだことは「すべての人が音楽を楽しむこと」でした。

そして、このイッツ・ゴナ・レインから始まる一連の実験的な音楽アプローチは、クラシックの現代音楽界だけではなくロックフィールドにも多大な影響を与え、電磁的に音をサンプリングできるようになった頃からはサンプリング曲でのヒットも出現して、「音の切り貼りは普通のこと」になっていきます。

誰でも自宅にあるカセットで音を継ぎ接ぎして楽しめばそれでいいんです。
もはや作曲の必要さえない。

私も高校の頃はテープの編集ばかりしていました。

これは、前回紹介したインヴィシブル・スクラッチ・ピクルズたちなどによる、ターンテーブルで「自分の感覚をダイレクトにサンプリングする」ということが一般的になるまでの約30年近くの間の「橋渡し」だったと思います。

その最初の足がかりを作ってくれたとも思えるスティーブ・ライヒに私はとても感謝しています。

人類が何十億人いても、たいていは「創造神の喜ぶキッカケ」を作る人は数人か、下手をすると「たったひとり」で始まることも多いです。
そして、「たったひとり」と「誰もいない」とは全然意味が違うということです。

この地球にはそれらの人々が「いた」。

これは大きいです。

スティーブ・ライヒが歴史上のすべてのクラシック音楽家を代表して挑んだ「創造神への許し」に関しては、それを得たと私は思います。

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