私は20世紀のパンク少年だった

黒点最大期の熱狂と暴走 Vol.1



以前、クレアの記事「夢の話と大量殺戮と黒点の関係」に書いたのですが、1920年代にロシアでサイクルの研究をしていたチェゼセフスキーという学者が、「太陽黒点と社会騒乱の相関関係」のデータを発表していて、細かいところはともかく、博士の研究では、黒点の数が最大になる頃、つまり、太陽活動がもっとも活発になる頃に人々は、

> 感情の高ぶりの中で、大衆は自己防衛の本能さえ失って暴走する


という特徴があるのだそうです。

感情の高ぶり」と「暴走」・・・これは、1970年代の終わりに様々なパンクや実験音楽が無軌道に出現した状態をとてもよく表していると思います。この頃の日本のマイナー音楽家たちの多くは、自分たちでお金を出して自主制作という形でレコードを出していました。そして、この頃の自主制作音楽シーンの多くが非常に無軌道だったわけです。

太陽活動は大体11年くらいの周期で大きくなったり小さくなったりしていますが、この80年代の頃では 1979年から1980年が黒点の最大期間でした。


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▲ 上が黒点数。下のは景気の循環に関してのグラフ。




昨年、これを知った時に、

「これはすごい」

と、正直思いました。

というのも、この1979年から1980年というのは、日本だけで言っても、その後のアンダーグラウンド音楽の勢力を塗り替えたような年だったからです。

非常階段結成、フリクションのアルバム発表、東京ロッカーズの活動、P-MODEL、プラスティックス、ヒカシュー、リザードのメジャーデビュー、スターリンがソノシートを発表、工藤冬里が「天皇」発売、陰猟腐厭の「妥協せず」が1000枚のセールス記録、ノイズのメルツバウが活動開始、タコの山崎春美が活動開始、INUの活動開始、突然段ボールの活動開始・・・

他にもいろいろとありますが、その前後10年にこれほどインパクトのある人たちは出ていないわけで、これが黒点と関係しているということよりも、これらはまさに、


> 感情の高ぶりの中で、大衆は自己防衛の本能さえ失って暴走する


という定義とピッタリではないかと思った次第です。

こんなライブをやる人たち(非常階段/1981年

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や、こんなライブをやる人たち(スターリン/1981年

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がたくさんいた時代は、たかが音楽の周辺にある状況としてはスゴすぎたわけで、タコの山崎春美みたいに、ステージで自殺未遂した人までいたりして(後にその時の血まみれのTシャツを雑誌宝島で読者プレゼントしてました)、やはり今と比べても無軌道さは際だっていたように思えます。1983年を過ぎてから急速にこういうムーブメントが下火になっていくあたりも何となく黒点の活動とのリンクを感じないでもないです。

「自己防衛の本能さえ失って暴走する」

この言葉がこんなにしっくりとする音楽の歴史ってちょっとないのじゃないかと思ったりいたします。

そして、今年2010年から来年2011年。
再び、太陽活動は活発になることが予想されています。
今度はどんな暴走と熱狂を体験できるのでしょうね。
そして、またあの時のように一緒に熱狂できればいいな、と思ったりもしています。

ちなみに、前回の黒点の最大期は同時多発テロのあった2001年です。




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