1994年秋プロジェクト:電離層を変化させる軍事計画

http://rerundata.net/aum7/4/08haarp/haarp2.html

by Clare Zickuhr and Gar Smith




 クレア・ジカールはARCO社の元社員で、アンカレッジにあるラジオ・オペレーターを務めていた。彼女は「HAARP反対キャンペーン」設立者である。ガー・スミスは「アース・アイランド・ジャーナル」誌・編集長である。

 アメリカ国防省は「HAARP計画」を極秘理に進めている。この計画はアラスカ・ガコナのアメリカ空軍基地に建設される予定であり、電離層を「暖める」という世界初の試みである。しかし科学者、環境保護論者、土地の人々は、これに懸念を表明している。なぜならHAARPの電磁波装置は、地球の電離層に1ギガワット(10億ワット)以上の電磁波を放射できるからである。これにより人々は健康を損ない、野生動物は危険に曝され、環境にも予測できない影響が出る恐れがある。

 HAARPは「高周波活性オーロラ研究計画」(HAARP)を略したものである。これはアメリカ空・海軍が合同で行っている計画で、国防省による「電離層実験」の一環である。この実験はあまり知られておらず、「EXCEDE」、「RED AIR」、「CHARGE4」というコード名で呼ばれている。

 機密の「HAARP文書」には次のような言葉がある。「国防省の観点から言えば、HAARP実験で最も興味深く、最も困難な点は、『軍事目的のために電離層をコントロールする』点である。」HAARP科学者は、2.8−10メガヘルツの強力な電磁波を放射して電離層に窪みを作り、大気上空に「人工レンズ」を作ろうとしている。このレンズは、現在より遥かに強力な電磁波域を大気上空に形成できる。この電磁波域は、最低でも直径50キロメートルに及ぶ。

 HAARP計画には2600万ドルの予算が付けられている。それは4エーカー四方の土地に72フィートのアンテナ(出力320キロワット)を360本設立する予定である。計画の第一目的は、強力な電磁波を放射して大気電離層を破壊することである。地球の電離層は、+・−のさまざまな粒子(エレクトロンやイオン)から成り立っており、地表35−500マイルに存在する。アンテナ建設の次には、電磁波出力を1.7ギガ・ワット(17億ワット)にまで上昇させる。こうすれば現在の世界で最も強力なアンテナとなる。HAARP計画は名称から分かるように、表向きはオーロラ(極光)研究である。しかしHAARP文書のどこを探しても、オーロラに関する記述は出て来ない。HAARP関係者たちは、この計画を「科学的作業である」と嘘ぶいている。しかしHAARP計画は極端に秘密主義で、その実態はアラスカ人、アメリカ人にほとんど知られていない。

 海軍研究局は1993年11月、「HAARP覚書」を公に発表した。それにはこう書かれている。「国防省は通信分野での現在の能力を拡大し、大きな科学的進歩を遂げるため、HAARP計画を実行する。」国防省はこれまで、HAARP計画ほど大規模ではないが、プエルトリコ、ノルウェー、アラスカで高周波放射の実験を行ってきた。その目的は「電離層について、よりよく理解するため」であるとされた。しかし機密の「HAARP文書」によれば(この文書は「情報自由化法」により明らかになった)、HAARP計画の目的は、「強力な電磁波を放射して電離層を『破壊』し、その後、電離層がダメージにどう反応し、最終的にどう回復するか」を研究することである。

 HAARP覚書では、この計画は「純粋に科学研究を目的としたものであり、敵国に何ら脅威を与えるものでなく、それ故、軍事目的としては何の価値もない」と書かれている。確かにプエルトリコの実験は、文民の「国立科学基金」によって行われていた。しかし「アース・アイランド・ジャーナル」誌が明らかにしたところでは、HAARP計画を提案したのは国防省・海軍研究局である。

 「アース・アイランド・ジャーナル」誌は、アメリカ空・海軍が1990年2月に出した文書を入手した。そして、それにはHAARP計画の軍事目的しか述べられていない。例えば次のようなものである。

○大気上空に電離層レンズを作り、強力な高周波エネルギー焦点を作ること。
○いずれは国防省のために使う目的で、電離層を変化させる手段を考案すること。
○反射装置(ミラー)を作る目的で、上空90キロメートル以内の電離層に変化を与えること。
○ミラーによって、地平線を超えた、広範囲に亙る監視システム(例えばHF/VHF/UHF)を作ること。
○それによってクルーズ・ミサイル、あるいは他の飛行物体を探知すること。

 HAARP文書では、計画の最終目的として「1000キロメートル(621マイル)の広範囲に亙って、電離層を大きく変化させることが望ましい」と書かれている。

 ほとんど知られていないが、HAARP計画のもう一つの目的は、敵国の通信能力を妨害しながら、アメリカの防衛通信手段は無傷で残しておくことである。また国防省は、深く潜水した原子力潜水艦への信号を妨害することも計画している。それは「極端に長い周波数の電磁波」(ELF)を電離層に放射し、その温度を上げることによってである。

 HAARP計画を請け負ったのは、ARCOの子会社「ARCO電力技術会社」(APTI)である。このAPTIの文書を読めば、HAARP計画が、バーナード・イーストランドによって発明された電離層ヒーターにヒントを得ていることが分かる。イーストランドはこのヒーターによって、「世界通信を混乱させ、敵国ミサイルを破壊し、天候を変化させること」を計画していた。APTI文書では、アラスカは電磁波放射基地として理想的であることが述べられている。なぜなら「地球の電磁波が交差している場所がアラスカだから」である。

 HAARP関係者は、イーストランドとの関わりを否定している。しかしイーストランドは「ナショナル・パブリック・ラジオ」の番組に出演し、次のように述べている。「私の発明を軍事目的のために研究・応用する秘密作業が、1980年代後半に始まりました。」彼は「マイクロウェーブ・ニュース」1994年5/6月号でこうも述べている。「HAARP計画は、明らかに私の発明を応用する第一歩です。それは地球全体を特定粒子でシールドする方法で、こうすれば敵国ミサイルが侵入して来ても、直ちに爆発させることができます。」

 HAARP計画の軍事目的はよく認識されていない。しかしその軍事目的は、1994年6月、ARCOが子会社APTIをEシステム社に売却したことからも分かる。Eシステムはミサイルの監視・迎撃において有名な軍事会社である。

電磁波の影響

 HAARP基地がアラスカで建設され始めたのは、1993年春のことである。この時、連邦航空管理局(FAA)は、民間パイロットに、HAARP基地が放射する強力な電磁波を避ける方法を助言し始めた。もちろんFAA技術者やアラスカの森林パイロットは、HAARP計画に反対した。特に森林パイロットにとって通信手段は死活問題である。だが最後の環境影響報告(FEIS)は、HAARP計画に青信号を出した。皮肉な話だが、FEISによれば、HAARPはあまりに強力な電磁波を放射するので、軍事施設の近くには建設できず、アラスカが最適との結論が出されたのである。

 1993年11月11日、アラスカのイニュピアット部族の代表者、チャールズ・エドワーデンがホワイトハウスに書簡を送った。それは「アークティック・スロープ・イニュピアット共同体」及び「カシグルック・エルダーズ会議」を代表してのことであった。エドワーデンは述べている。「私たちはARCO社が地球の大気環境を変化させようとしていることに懸念を抱いています。私たちは自分の土地がビキニ諸島のように、実験場になることを望んでいません。太平洋諸島の人々はアメリカの原爆実験の放射能を浴びたのです。」このように、エドワーデンはクリントン大統領にHAARP計画へのさらなる資金援助をやめるようアピールを出した。

 これまでにも、強力な電磁波放射装置から発せられる電磁波汚染の危険は常に指摘されてきた。過去30年間、欧米では多くの研究が行われ、電磁波と健康問題の関係が取り沙汰された。電磁波は、疲労・いらいら・不眠・健忘症・白内障・白血病・障害児・ガンと結び付けられてきた。電磁波はまた、血糖値・コレステロール値・心拍数・血圧・脳波・脳内分泌とも関連づけられている。

 野生動物保護論者もHAARP計画に反対を表明している。HAARP基地はワンゲル州北西部、プリンス・ウィリアム・サウンドにあるコルドバという街から140マイル北に位置している。ワンゲル州にはエリアス国立公園がある。電磁波は空を飛ぶ鳥に強い影響を与える。つまりHAARPの強力な電磁波は、渡り鳥に大きな影響を与えるのである。なぜなら、HAARP基地は渡り鳥の太平洋航路に位置しているからである。HAARP基地の出す電磁波により、渡り鳥の進路、海洋生物・極地生物の生態は大きく影響を受ける。なぜなら、そうした動物は長距離移動時、地球の電磁波に依存しているからである。

 HAARP覚書には次のような言葉がある。「強力な電磁波のほとんどは大気上空へ向けて放射され、水平方向には放射されない。」しかしこの後の箇所には、次のような言葉が続く。「電磁波は時間を置いて大都市へ降り注ぐ可能性があり、その値は減少させねばならない。」HAARP基地から最も近い都市はフェアバンクスとアンカレジである。

 たとえHAARP基地の電磁波が電離層へ放射されるとしても、地上の人々は懸念を払拭できない。国防省コンサルタント、ロバート・ウィンザーによれば、湿気の多い夜、下降気流が起きた時、あるいは温度変化が激しい場合には、「導管現象」あるいは「超屈折現象」が起きる。そうなれば電磁波がと地表へ逆流する可能性があり、そうなった場合、逆流する電磁波の強さは地上放射時の10倍に当たるのである。

 電磁波放射基地は多くの副次的影響を出す。例えばアメリカ国防省管轄のペイブ・ポーズ基地は、水平方向のレーダー網を持っている。ペーブ・ポーズ基地からは約1メガワットの電磁波が出され、3000マイル四方に亙って420−430メガヘルツの電磁波が送られている。しかしこれにより250マイル四方の地域で、副次的影響として、テレビ・ラジオの受信、無線の授受、衛生通信が影響を受けている。また7マイル四方の地域に住む人々の心臓ペースメーカーに影響が出ている。それだけでなく、そばを通る飛行機の電気装置が燃え上がったり、飛行機の爆弾が爆発する事件も起きている。HAARP基地からは、ピーク時、最も強力なペーブ・ポーズ基地の1000倍以上の電磁波を送ることができる。

HAARPの高い危険性

 HAARP計画の責任者、ジョン・ヘックシャーは国防省・空軍のフィリップス研究所の科学者である。彼はHAARP基地の危険性について「根拠がない」と述べている。彼は「マイクロウェーブ・ニュース」誌の中で、次のように述べている。「HAARP基地は、これまで作られたいかなる施設より三倍も強力である。それ故、HAARP基地がこれまでにない影響を与えるかもしれないと考えることは当然である。しかし、だからこそ私たちは、環境アセスメントを行っている。」

 1993年7月、次のような報告が出された。「HAARP計画は電離層エレクトロンの濃度・温度・構造を大きく変化させる。しかし、こうした変化は自然現象の中でも起きており、大したものではない。」

 電離層にHF波を放射し続けることにより、大気上空の中立的粒子がイオン化されてしまう。HAARP覚書は言う。「大気上空の電離層バランスが崩れることにより、地上に電気的影響が出る可能性がある。それは大規模停電という形で現れるだろう。」1990年に出された空・海軍の文書には次のような言葉がある。「放射される電磁波が1ギガワットを超えた途端、電離層の構造・性質は劇的に変化する。プエルトリコでは政府主導の下、小規模な電磁波放射が行われた。この時、電離層は比較的『安定』していたが、アラスカ上空の電離層は大きな力を有しており、そこに電磁波エネルギーが加われば、大きな影響が出るだろう。」

 リチャード・ウィリアムズ博士はプリンストン大学のディビッド・サーノフ研究所の顧問である。彼は「物理と社会」(アメリカの物理学・季刊誌)の中で、「電離層を暖める実験は、無責任で本質的な危険性を含んでいる」と批判している。

 ウィリアムズ博士は言う。「このような実験を行えば、大気上空でのオゾン粒子の形成に大きな影響が出ます。電離層の温度が変化すれば、オゾンを作り出している化学反応が変化します。現在、モントリオール条約という国際条約があり、それによってオゾン層を破壊する化学物質を出さないことが決められています。しかしHAARP基地によって電離層を暖めれば、モントリオール条約を完全に反故にすることになります。

 HAARP基地から放射されるエネルギーを考えてみて下さい! それは100の巨大発電所が出すエネルギーの10倍に当たります。100億ワットの発電所を一時間稼働させ続ければ、広島型原爆に相当するエネルギーが放射されることになります。

 もちろんHAARP計画では、『放射は断続的に行われ、継続してエネルギーを放射することはない』と述べられています。『HAARP覚書』では、『2.8−10メガヘルツのHF波が、一年のうち四・五回、数週間、放射されるだけである』と述べられています。これが20年間続くそうです。しかし環境への影響について公共の場で十分に議論しないまま、HAARP計画を推進することは、環境に対する無責任な行為です。HAARP計画ほどの規模ならば、短期間で修復不可能な損害が出るでしょう。現在必要なことは、早急に公共の場での議論を持つことです。」

 ダニエル・N・ベイカー博士は、コロラド大学の大気・宇宙物理学の責任者である。彼もまた、ウィリアムズ博士ほどではないが、HAARP計画への懸念を表明している。「太陽から地球に降り注ぐエネルギー量と比べれば、HAARP基地が放射するエネルギー量は小さなものです。しかし電離層はその性質上、流動的であり、数時間・数日でエネルギー・バランスが崩れます。」

 もちろん自然現象としては、よほどの「下降気流」が起きない限り、オゾン層が消えてなくなることはない。国立アルゴン研究所の環境システム技師、キャロライン・L・ハーツェンバークは、次のように述べている。「HAARP計画は大気中の化学構成を変化させ、粒子・プラズマも変化させてしまいます。これは1977年に採択された『環境変化条約』に違反します。この条約は、環境を広範囲に永続的に大きく変化させる技術を全て禁止している条約です。軍事目的の技術も禁止されています。」アメリカはこの条約を1979年に批准している。

地球を覆う「放射線」?

 1994年6月14日、上院・委員会には次のような報告が出された。「国防次官は、1996年防衛予算で、HAARP予算を500万ドルから7500万ドルに増額するよう申請した。」この突然の増額要求は、HAARP計画に新たな目的が加わったことを示している。

 HAARP基地は従来のように、ただ上空に巨大エネルギーを放射するだけではなくなった。それは地中をも探知する技術を備えようとしており、これにより北半球全体をカバーする探知網ができあがる。HAARP基地は世界で最も強力な「放射線装置」となり、地表奥深くに潜む物体をも探知できる。上院・報告書にはこう書かれている。「これにより、トンネル・地下シェルターの探知、その正確な位置を割り出せるようになった。こうした能力を持たない限り、国防省は正確な攻撃指示を出すことができず、強力な標的を打ち倒すこともできない。」

 現在もHAARP計画は着々と進められている。それは1.7ギガワット(17億キロワット)の電磁波を放射できる基地であり、建設着工は1995年予定である。HAARP基地を拡大するためには、議会のさらなる財政援助が必要である。1990年「HAARP文書」には次のような言葉がある。「世界規模の基地を建設することが望ましい。それには2500−3000万ドルの予算が必要である。」しかし1994年4月に出された上院・報告書には「HAARP計画のためには9000万ドル必要である」と書かれている。

私たちにできること

 HAARP計画が環境に与える影響について、議会に手紙を書こう。商業省・通信情報局に依頼し、HAARP計画について議会が出したゴーサインを取り下げてもらおう。質問・寄付は「HAARP反対キャンペーン」へ。

 最後にディック・ウィリアムズ博士の言葉を引用しておく。「環境に対する損害は、目で見ただけでは分からない。これまでにないエネルギーが放射された場合、予想もつかない影響が出るだろう。電離層に対する実験はとても微妙な事柄である。一地域で行われた影響が素早く世界全体に広がってしまう。」

Copyright 1995, Earth Island Journal.